尾道市の民話(浦崎のおとぎ話)・21

 今日は、全国各地に似たような話があるんじゃが、それを話そうかの。

 むかし、浦崎(現在の尾道市浦崎町)のあるところに、善え爺さんと悪い婆さんが居ったそうな。
 ある日、善え爺さんが縁側で草履を編んどったら、庭へ足に怪我をしたスズメが一羽落ちてきたんじゃ。
 爺さんは「おお痛かろう。わしが治してやるからのう」と言って、餌をやったりして大事に飼っておったんじゃ。
 そのうち怪我も治ったようなんで、空へ帰してやったんよ。
 スズメは爺さんの上を何回が廻っておったんじゃが、そのうちどこかへ飛んで行ったんよ。
 
 何日か経って、善え爺さんがまた草履を編んでおったら、スズメが飛んで来、ひょうたんの種を一粒落していったんよ。
 善え爺さんは、その種を蒔いて大事に育てておったんじゃが、やがて大きなひょうたんが一つ生ったんよ。
 爺さんが中をくり抜いて、軒下に下げておったんじゃが、毎日スズメがが何羽も来て、ひょうたんの周りを飛び回っておったんよ。
 やがて来なくなったんで降ろしてみるとすげえ(とっても)重たいんじゃ。
 不思議に思った爺さんが、ムシロを敷いてひょうたんを逆さにすると、米がいっぱい出てきたんよ。
 それからは爺さん米には不自由せんようになったそうな。

 悪い婆さんがそれを見ていてうらやましくなったんよ。
 ある日、手槌でワラを打っていたらスズメが寄って来たんで、手槌を投げたらスズメに当たって足が折れんたんよ。
 婆さんは「かわいそうに」と言うて、餌をやって傷を治し、放してやったら、ひょうたんの種を一つ持って来たんよ。
 婆さんは、善え爺さんがしたように、中をくり抜いて軒に下げ取ったんじゃ。
 すると、スズメが何日もひょうたんの周りで騒いでおったんよ。
 婆さんは「しめた」とばかり、さっそく逆さにして振ったら、ハチがいっぱい飛んで出て、婆さんを滅茶苦茶に刺したんで、婆さんは「いたあ、いたあ」と転げ回って、むげえめ(むごいめ)におうたそうじゃ。

 人間正直に生きんといけんいうことじゃ。
 ということで、今日の「浦崎のおとぎ話」は終りじゃ。
  (参考~尾道民話伝説研究会発行“尾道の民話・伝説”より)

 

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