尾道市の民話(知恵くらべ力くらべ)・11

                    西国寺境内
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                    済法寺本堂
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 むかし、西国寺の和尚様で、たいそう徳の高いお方がいらっしゃったんじゃ。
 あるとき、何を思われたのか急に裏の竹やぶに水を掛けるように言うたんじゃ。
 小僧さんたちは、「火事でもないのに、どうして水を……」と思いながらも竹やぶに水をかけたんじゃ。
 それから数ヶ月たって、高野山から厚い礼状がきたんじゃ。「先日の火事のおりは、水の加勢をたいへんありがとうございました。おかげでたいそう助かりました」
 それでいっそう西国寺の和尚様に知恵があるということが人々の間に伝わったんじゃ。
 そのころ、栗原の済法寺に、拳骨和尚と呼ばれているたいへん力の強い和尚様がおられたんじゃ。
 この和尚様の大力の話は、この前も話したように一杯あるがのお、今でも人々の間に伝わっているんじゃ。
 そんな力自慢の和尚様も知恵では、西国寺の和尚様には敵わなかったんじゃ。
 ある日のこと、拳骨和尚様が天文を占っていると、お昼からにわか雨が降ると出たんで、これはひとつ西国寺の和尚様を困らせてやろうと思ったんじゃ。
 それで「急用ができましたので、お昼過ぎごろぜひお出でください」と使いの者を出したんじゃ。
 それを聞かれた西国寺の和尚様は、天文を見て今日は昼からにわか雨が降ると知ってたし、拳骨和尚様のいたずらもちゃんと読まれていたんじゃ。それで小僧さんに雨具の用意をさせ、済法寺へと急いだんじゃ。
 待ち詫びていた拳骨和尚様は、びしょぬれになって来るはずの和尚様が、ちゃんと雨具をつけていらっしゃるのでとてもくやしがったんよ。
 「あなたは本当に知恵のあるお方だ。しかし私の力にはかなわんでしょう」と裏の竹やぶに行き、竹を取るや肩にたすきをかけたんじゃ。
 西国寺の和尚様は、かねがねこの方の大力は知っていましたが、見るのは初めてなのでたいへん驚いたそうじゃ。
 「あなたの力の強いことにはまいりました。が私は知恵を持っています。あなたの力と私の知恵を合わせれば、今まで以上に人々を助けることができると思う」と、西国寺の和尚様は言ったんじゃ。
 済法寺の和尚様も、この言葉には深くうなずかれたんじゃ。
 それ以後二人の和尚様は、いっそう町の人々から親しまれ、敬われたということじゃ。
 これで、「知恵くらべ、力くらべ」の話は終わりじゃ。またの楽しみじゃ。
 (参考~尾道民話伝説研究会発行“尾道の民話・伝説”)
 

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