尾道市の民話(持光寺の小僧さんと天狗さま)・9

                持光寺山門
 石の山門は珍しい。
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                持光寺本堂
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 いつのころかのう、ずっとむかしのことじゃ。
 持光寺に一人の可愛い小僧さんが京都の本山から修行に来ていたんじゃ。
 小僧さんは、毎日一生懸命修行に励んでいたが、遠く離れた本山に早く帰りたいと、いつも思っていたんよ。
 しかしのう、修行の道は厳しくて、小僧さんはなかなか本山に帰る日は来なかったんじゃ。
 小僧さんは修行で疲れたときは、お寺の山にある天狗岩に上がったんよ。
 そしてそばの大きな松の木に話しかけたんじゃ。
 「松の木よ、わたしは京都の本山に帰りたい。この山には天狗さんが大勢いらっしゃると聞いたが、天狗さまがこの松に来られたら、わたしの気持ちを伝えてくれまいか」
 ある月のきれいな晩のことじゃった。小僧さんは、京都の本山のことを思い、もっと修行して一日でも早く、本山に帰ることができるにと小さな手を合わせていたんじゃ。
 すると、月をかすめて何かが飛んだように見えたんじゃ。
 小僧さんがハッとすると、自分の体がフアッと浮き上がり、誰かに抱きかかえられて飛んでいるような気がしたんじゃのぅ。
 小僧さんは、ビックリしたが、そのまま気を失ってしもうたんじゃ。
 どのくらい時間が経ったのかわからないが、小僧さんは気がついてみると、なんと本山の境内を掃除しているではないか。
 ずっと以前から何事もなかったように、本山で修行をしていようじゃったんじゃ。
 でものぉ、尾道の持光寺では、小僧さんがいなくなったと大変じゃったんじゃ。
 何日たっても小僧さんは帰ってこないんで、みんなは、あまりにも可愛らしい小僧さんだったので、天狗さまに連れていかれたのだと話をしていたんじゃ。
 それからしばらくして、持光寺の和尚さんが京都の本山に参られたんじゃ。
 そこで、あの小僧さんに会い、それはそれはビックリしたそうなんじゃ。
 これで、持光寺の小僧さんと天狗の話は終わりじゃ。またのぉ。
 (参考~尾道民話伝説研究会発行“尾道の民話・伝説”)

                    持光寺の握り仏
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 現住職の発案で、参拝者が粘土を握り、その形を仏にみたてて目鼻を書き窯に入れる。後日送付してくれる。
 

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