船に「○○丸」とつけるのは何故

 日本船舶には、船名を「○○丸」とつける習慣があるが何故だろうか?
 疑問に思った方も多いと思う。
 今回は国学院大学名誉教授樋口清之氏著から紹介することにしよう。

 日本では、人名、あるいは人名でなくとも、「○●丸」とつける習慣がある。
 人の場合は幼名といって幼児の愛称であった場合が多いのであるが、船につく「丸」などは、例えば世界有数の、半世紀を超える古くて巨大な船にも、何々丸とつけられている。
 これらはただの愛称とか幼名ではなく、世界では日本にしかない習慣なのである。

 それでは、船などに今でも残っている「丸」とはどんな意味があるのであろうか?

 結局「丸」とは可憐なとか、いとしいという日本語の生き残ったものなのである。
 だからこそ子ども以外にも、武器である自分の刀剣にも何々丸と呼んだ例があるし、命を託すべき船も何々丸と呼んで身近な愛すべきものという意味を与え、それが今日まで残ったものと考えられる。
 要するに、魂を持っていて我々を護ってくれるものという意味なのである。

 そう考えて、日本人が何々丸と呼んで、今でも擬人化している各種のものを見渡してみると面白いものではある。

 まず、動物にも「丸」とつけられるものがあった。
 今では少なくなったが、犬、猫、鷹狩の鷹等がそうであった。
 家族の一人と思うほどの愛情で飼っていたからであろう。
 自分の使う器物では、刀剣、弓矢、甲冑、茶壷、楽器等の一部などがある。
 漢方薬でも丸く固めたものは、丸薬といって各々の名前に「●●丸」とつけられたものが多くある。

 寺の大きい梵鐘に何々太郎、何々次郎と呼ぶ例があるのは、何々丸と呼ぶ習慣の変化であると思われる。
 これは河川でも同じで、何々太郎、次郎と呼ぶ習慣が残っている。
 城郭のようなものでさえ、各廓を本丸、二の丸、出丸などと呼び、やがて丸の内、丸の外と区画を呼ぶのにも利用された。
 このようにただの一文字「丸」を追求するだけで、日本史の深い意味が分って面白いのである。

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