尾道市の民話(氏子びいきの神さま)・26

 今日は神様の話しをしようかのぅ。
 
 西藤町の山王さんは、むかしから氏子の面倒をよくみ、可愛がられる氏子びいきの神様として有名じゃった。
 祭日は6月15日で、氏子は親戚や親しい人達をよんでご馳走をし、にぎやかに一日を過ごすのが例年の慣わしじゃった。

 むかし、山王さんの祭礼に、氏子が朝早く魚の買出しに松永(福山市)まで出かけたんよ。
 気に入った魚があったので「なんぼきゃのう」(幾らですか)と値段を聞いたんじゃ。
 それは、目の下三尺もあるイキのええ鯛で、魚屋さんの自慢のものじゃった。
 魚屋さんは、さぞよい買い手がつき、大儲けできるだろうと、お客を待っていたんよ。
 そこえ「魚が欲しいんじゃが」と来たもんじゃけぇ、ひょっと客の格好を見ると、草鞋履きのむさくるしい風体の百姓じゃった。
 ちょっと当ての外れた魚屋さんは「田舎もんで魚の値段も知らんじゃろうけぇ、このくらい言うてもびっくりするじゃろう」とバカにして、相場よりずっと安く値をつけ、これくらいでもまだよう買わんじゃろう思うておったんじゃ。
 「これゃあ、安いのう。エエ魚じゃ。山王さんも、お喜びなさるじゃろう」
 百姓さんが喜んで縞の財布を引っ張り出したので、魚屋さんはあわててしもうたんじゃ。
 「やっぱり、これじゃぁ、売れんのじゃ」
 「売る言うたんじゃなぁか。ぜひ売ってくれ」
 と押し問答の末、気の荒い魚屋さんは百姓さんの頭をポカリと一発叩いて、大急ぎで、自慢の魚を奥の方へ隠してしもうたんじゃ。

 人の良い百姓さんは、仕方なくほかの魚屋さんで買い物を済ませて帰ったんよ。
 一方、山王さんは自分の可愛い氏子をバカにされたうえ、ひどい目に遭わされたので、カンカンに腹をたてられたんよ。
 
 さて、夕暮れて、魚屋さんはいよいよお客に大鯛を売ろうと張り切ったんじゃが、取り出してみると鯛は腐ってしもうていたんよ。
 山王さんが神の使いに言いつけて、氏子の代わりに仕返しをされたんじゃ。
 魚屋さんは神罰を思い知り、後々まで山王さんへのお参りをしたそうなんじゃ。
 (~尾道民話伝説研究会発行「尾道の民話・伝説」より~)

 ひとをバカにしたらいけん(いけない)という話しじゃ。

 今日の話しはこれで終いじゃ。
 

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