尾道市の民話(浄土寺山の化け猫退治)・24

 久しぶりにブログに登場になったのう。
 今日はのぉ、浄土寺山の化け猫の話をしようかのぅ。

 昔、むかし浄土寺で不思議なことがあったんよ。
 みんなが集まって法要をするとき、ごちそうのお膳が一つなくなるんじゃ。
 だれかが数えまちがったんか、何んかの手違いかと思うてみたりしたんじゃが、いつも無くなるんじゃ。

 お膳を一つ、二つと数えてきちんと並べ、ふと見ると一つ足らんようになっとんじゃ。
 目にも止まらぬ早さで消えてしまうんじゃ。
 そして、どこを探しても見つからんのよ。
 あまりにも不思議な出来事なんで、町中に噂が広がったんじゃ。
 そしてのぅ、この話が殿様の耳まで届いたんよ。
 「うちの領内でこのような悪い噂が出るとはけしからん。よく調べてまいれ」役人たちは法要のとき、しっかりと目を開いて見張っていたんじゃが、やはりお膳が一つ無くなるんじゃ。
 あまりの早業なんで、これは妖怪の仕業に違いないということになったんよ。

 妖怪と聞いて、みんなはとっても怖がったんよ。

 姿を見せない妖怪とはいったい何じゃろうかと、また噂が広がったんじゃ。
 
 ある日、一人の役人がご馳走の並んだ大広間で一本の毛を見つけたんじゃ。
 銀色に輝く、見たこともない見事な毛じゃったそうな。
 「これはまさしく妖怪の毛じゃ。藩の名誉にかけて妖怪を退治せよ」と殿様の一声で、奉行様は妖怪退治をする者を探したんじゃ。
 しかしのぅ、妖怪と聞いただけで、どんな武芸者も怖がって尻ごみするばかりばかりじゃった。

 そこで、白羽の矢がたったのは、相方に住んでいる弓の名人千葉四郎衛門という侍じゃった。
 四郎衛門も妖怪と聞くと初めは断ったんよ。
 でものぅ、四人も役人が来て「受けて下さらんのなら、我々は腹を切らねばならん。どうかお願い申す」と、その場で切腹の用意を始めたんよ。
 四郎衛門はしかたなく妖怪退治を引き受けることになったんじゃ。

 今夜の法要は、名人四郎衛門が妖怪退治をする日であった。
 百匁ろうそくが立ち並んだ広間は昼間のような明るさで、其の中にごちそうのお膳が並べられたんよ。
 人々はひとことも声を出さんかったんじゃ。

 弓に矢をつがえて、四郎衛門は目を閉じて、心を開いて静かに獲物を待ったんじゃ。
 ろうそくの炎がかすかにゆらいだんじゃ。
 その時じゃった、すかさず名人は息を止め、天井へ向けて矢を放ったんよ。
 「ギャオウ」と耳をつんざく悲鳴。
 広間全体がゆれ動いて百匁ろうそくがいっぺん(一度)に消えたんよ。
 天井から血がしたたり落ち、それが広間から庭へ、そして浄土寺の東側山奥へ続いていたんじゃ。
 山奥にゃ、大きな洞窟があってのぅ、其の中に血の跡がついていたんじゃ。
 四郎衛門が中に入っていくと、沢山のお膳やお椀が転がっていたんじゃ。そして血の臭いがして、うめき声が聞こえてきたんよ。
 奥にランランと輝く二つの目が見え、それが四郎衛門をめがけて鋭い爪で襲いかかってきたんじゃ。
 四郎衛門は妖怪に向けて矢を放ったんよ。
 矢は命中して、妖怪の断末魔の声が洞内を震わせたんじゃ。
 倒れた妖怪は、大きな大きな猫じゃったんよ。

 千葉四郎衛門は殿様からたくさんの褒美を貰ったそうじゃ。
 ~尾道民話伝説研究会発行「尾道の民話・伝説」より~

 これで怖い話はお終いじゃ。
 また次に話すことにするけぇ楽しみにしておいてくれぇの。

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