尾道市の民話(カリハタ池のキツネ)・23

 今日もキツネの話をしようかの。
 むかし、浦崎と隣の山南(さんな)村をつなぐ道は、尾根を通って谷を降り、また山を越える険しい細道じゃったんよ。
 4キロメートルもの間に一軒の家ものうて(なくて)昼間からさびしいところじゃった。
 谷にはのぅ、「カリハタ池」という池があっての、このあたりにゃぁ、わりいぃ(悪い)キツネが住んどったんよ。
 いろいろな姿に化けて、通る人々を騙しておったんじゃ。
 それで付近の人々は「カリハタ池のキツネ」と呼んで、恐れておったんじゃ。
 ある日の夕暮れ時、浦崎の法運寺の和尚さんが、法事のごちそうを持って池のそばを通りかかったんじゃ。
 すると向こうから、
 「和尚さん、お帰りが遅いんで、お迎えに来ました」と、可愛い小僧さんが近づいてきたんよ。
 和尚さんは「ははあ、こいつはキツネだな」と思ったんじゃが、素知らぬ顔で「おお、よう来てくれた。よしよし、おんぶして帰ってやろう」
 と帯を解いて、小僧さんを背中にくくりつけたんよ。
 やがて険しい山道を過ぎたんじゃが、和尚さんは小僧さんを背中から降ろさなかったんよ。
 キツネは「しまった」と思って、しきりに
 「和尚さん、もう歩きますから降ろしてください」と泣き声を出したが、和尚さんはかまわず、スタコラ、スタコラと寺へ帰って門を閉めてしもうたんじゃ。
 そして、本当の小僧さんを呼んで、庭に青松葉を積んで、火をつけて、縛ったキツネの小僧さんを煙でいぶしたんよ。
 キツネはたまらんようになって、大きな尻尾を現して頭を地面にこすりつけて
 「こらえてつかあさい。こらえてつかあさい」と詫びたんよ。
 和尚さんは、「もうこれからは人を騙すようなことをしてはいけん」と言い聞かせて、放してやったんよ。
 それからは、「カリハタ池のキツネは人にいたずらをせんようになったそうな。
 (参考~尾道民話伝説研究会発行“尾道の民話・伝説”より)

 これで今日の「カリハタ池のキツネ」の話は終いにしようか。
 
 

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

面白い
かわいい

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック