尾道市の石造物(簪灯籠)・13

簪(かんざし)灯籠
所在地~尾道市久保2丁目「八坂神社」境内
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 江戸時代の中期、尾道の新開地であったこのあたりは花街として栄えていた。
 このあたりは、芝居小屋が並んでおり、芝居小屋には絣の着物に赤い前垂れをつけたお茶子という娘がいて、客の接待をしていた。
 その中に、いつも俯き加減で地味であるけれども、楚々とした美女がいた。芝居見物の常連客の中に、この娘に想いをかける若者がいて、二人は恋仲になった。
 ところが若者の父親は、裕福な浜旦那であったからこの縁談に反対で、精一杯身支度をしてやって来たこの娘を一見するなり、「確かにあんたは別嬪で気立ても良いようじゃが、年頃の娘が簪の一本も髪に差さんようでは、どうしようもない。」と冷笑した。娘は返す言葉もなく真っ赤になって俯き、簪一本買って貰えぬわが身の不運を呪いながら、とうとう近くの井戸に身を投げた。 
 それからというもの、この明神の境内に夜な夜な娘の幽霊が現れて、か細い声で「簪がほしい、簪がほしい」と泣いた。そこで町の人々が娘の執念を哀れみ、境内にこの」簪灯籠」建ててやった。(森本繁著備後の歴史散歩より)
 その後、幽霊は現れることはなくなったということである。

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